optimism
福田くんちでの打ち合わせが終わって。
後はお楽しみタイムだ…と、椅子を立ってこっちに寄ってきて、僕の膝の上に向かい合う形で座った福田くんにキスしようとしたら、
「ちょっと、待った。…雄二郎さん」
「何?」
「もし、この先担当替わったら俺達、どうなる訳?」
替わるも何も、まだそこまで君が、連載作家としてやっていけるかどうかも分からないじゃないか。僕はそう思ったけれど、口に出すのは止めておいた。担当編集者としてなら、どんなキツいことでも言える。でも…今の僕は、「恋人」だ。
「…替わったって、変わらないよ。何も」
「んな訳ねーだろ!」
確かに、担当編集者と受け持ちの漫画家という関係だからこそ、お互い忙しいながらも何とか、こうして逢えてる…接点を保っていけてる。もし、福田くんの担当を外されたら、新しい担当の奴にこの関係がばれないよう続けていくのは至難の技かもしれない。でも…
「そんな…先のことまで心配しなくていいよ」
今、こんなに好きなんだ。だからきっと、この先だって大丈夫なはずだ。
「…『どうせ、そんなに長く、続く訳がない』からか?」
「…っ!福田くん、違う!」
「…何が、だよ?」
「僕は、続くと…いや、『続けたい』と思ってる」
「……」
「君は…違うのかい?」
問うと、
「…違わねーよ」
膝上に座らせてるから、僕がちょっと見上げる形のその顔は…かわいかった。いつもにも増して。
「それなら、大丈夫だ」
そう言ってやっと、キスを完遂すると、
「…楽観的過ぎるよ、あんた…」
あきれたふうに、福田くんが呟いた。
「そう?でも…僕のそういうとこ、好きだろ?」
「…自惚れんな、馬鹿」
それは…肯定だよな?福田くん。そう思いつつ僕は、かわいい顔にもう一度キスをした。