誘い
(これ単独でも読めますが)
徹夜明けでせっかく寝入ったところを、新聞の集金に起こされた。怒りの余り俺は、もの凄い形相になってたかして、集金員が怯えた顔になった…恐縮してそいつは、
「あの、これ、よろしかったら…」
俺に映画の券らしきものを二枚、渡して集金を済ますと、足早に去って行った。
券面を見れば、「全国○○系で使用出来ます。有効期限~」…つまり、有効期限内に○○系の映画館に行けば使える訳だ。
(新聞…)
今、怯えて帰って行った集金員に払った金で届いてる新聞を手に取り、上映中の映画を確かめる。
(…これなら、雄二郎喜びそうだな)
雄二郎の好きそうな、話題の洋画が見れることに安堵…それから俺は、ふと気付いた。
まず真っ先に、雄二郎の顔が浮かんだこと。そして自分の好み云々より、雄二郎の好みで選んでいたこと。
(………)
付き合ってるんだから、当たり前のことかもしれないけれど…それにしても…。
今は仕事中であろうこと慮って、電話でなくメールで俺は、恋人へ連絡する。
<この前のお返し。映画おごる。□□□□。今度の日曜どう?>
しばらくすると、返事が来た。
<□□□□!凄く見たいけど、原稿大丈夫なの?>
…うるせー。仕事関係の人間を恋人にしてしまうと、こういう時厄介だ。
<あんたが仕上げ、手伝ってくれたら大丈夫だ。明日、会社終わったら頼む。>
それからは、仕事が忙しいのかなかなか返事は来ず、俺は眠ってしまった。
「お」
目覚めて携帯を開くと、返事が来てた。
<たくさん手伝ったら、泊まってもいいかい?>
…ヤることしか、考えてねぇのかよ!一瞬、呆れたけれど…会えるついでにヤっときたいのは俺も、やまやまだし…。
<こき使ってやるからな。>
俺はそう、了承の意を返信した。どうせ、ベッドの上でひぃひぃ言わされるのは俺なんだから…それ位、いいだろう?