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可能性の未来

福田×蒼樹SS
「『call』の続き」と、言えなくもないような…。
(単独でも読めますが)


「ただいま」
二人の印税をあわせて買った、白亜の…「豪邸」とまではいかないが、とにかく瀟洒な一軒家に福田が、仕事場として借りてるマンションから帰ってきた。どっかと、疲れ切ったらしい様子でリビングのソファーに腰を下ろす。
「お帰りなさい。…ちゃんと、ご飯食べてました?」
声をかけながら、蒼樹は二人分のお茶のカップをソファー前のテーブルに置き、福田の隣りに腰掛けた。もともと夫は痩せてる方とはいえ、こうして何日も仕事場に篭って帰ってくると、ことさらげっそりしたふうに見えて、妻として蒼樹は心配になる。
「…まーな」
「また、カップめんで済ましてたんじゃないんですか?」
「…いいだろ?金貯めとくに越したことねーんだから。こんな家、買っちまったんだし」
「あら、家のためだけですか?」
そんなちくりとした物言いをした後、蒼樹は告げた。
「ああ、そういえば、選んでおきましたから」
「…何だったっけ?」


蒼樹はため息をついて、
「安岡さんのところの、誕生祝い!」
「あー。そうか、生まれたんだっけか」
「何年もアシスタントでお世話になったのに。…薄情なんだから」
「しょーがねーだろ?あいつも独立したんだ。おまけに引越ししたから新しい住所、分かんねーし」
「…そう言うと思って…」
蒼樹はソファーから立ち上がり、戸棚の引き出しから葉書を一枚、取り出して福田に手渡した。
「はい、年賀状。これだけ除けときましたから」
「お、おぅ」
裏面には安岡と、お腹の大きな若妻の写真が印刷されていた。
「出来婚か~。…まぁ、連載もとれたことだし、時期的にはよかったな」
「時期にいいも悪いもないでしょう?おめでたいことなんですから」
また隣りに腰を下ろしながら、蒼樹は夫をたしなめる。
「まー、そうだけど。…でもやっぱ子供は、物心両方ともの準備の上で迎えてやるべきだろ?」
「…じゃあ、その準備が『整った』訳ですね。やっと」
そう言って微笑みながら、蒼樹はまだ、以前と変わりないように見える自分の腹部に手を置いた。


「『やっと』?お前、そんなに前から欲しかったのか?連載で大忙しだったくせに」
「『くせに』って何ですか!?忙しかったら妊娠しちゃ、いけないっていうんですか!?忙しいのはお互い様でしょ!」
「あー、わりーわりー」
福田は謝った後、
「俺は…前から欲しかった。ずっと」
「……」
「でも…腹に赤ん坊が出来て、負担がかかるのはお前だから…」
同じ仕事なだけに、漫画制作の「しんどさ」加減は痛い程分かっている。
「…『負担』とか、言わないで下さい」
そう言いながら蒼樹が福田の肩にもたれかかるようにすると、呼応して福田は蒼樹の腹部の上の手に、自分の手を重ねた。
「…産むのは、私の仕事ですけど…。産んでからは、頼りにしてますから」
「お、おぅ」
仕事の合間をぬってこっそり調べたところによると、どうやら妊娠初期は(特に、激しいのは)「しない」方がいいらしいが…。身篭ってからさらに美しくなったように思える妻を相手にはたして一体、いつまでかつどの程度、我慢が出来るのか?福田はあまり、自信が無かった。

2010-01-09 : 福×蒼SS :
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プロフィール

曜

Author:曜
バクマン。の雄二郎×福田がメインのSSブログです。福田×蒼樹も少々。ド短期運営になるかもしれませんが、よろしければお付き合いの程を。

なお、SSは話ごとに時期や設定が異なります。両思いだったり片思いだったり。キャラの性格や口調等、かなり独自解釈してたりで捏造率が高いかと思いますが、あしからずご了承願います。


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