Pillow Talk

ボイコット事件の後辺り。

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「『俺が雄二郎さんの首絞めます』」
終わってからしばらく経って、荒い息もおさまってきた頃。僕は、傍らでぐったり横たわる恋人に、彼自身の過日の発言を囁いてみた。
「…はぁ？」
「知ってる？福田くん。そういう…プレイもあるんだよ」


一瞬の間の後、
「…雄二郎さん、変態？」
「おい！『変態』の一言で片付けるなよ！」
別に、そういうのが好きな訳じゃない…なんとなく、福田くんをおどかしてやりたい気持ちで口にしただけなんだけど。
「愛し合うには多様な手段が、存在するって訳さ」
「……『それ』で愛し合う時は、相手は俺じゃねー奴にしてくれ。頼むから」
「僕は、恋人がいるのに他の人と変な事はしないよ。それに…恋人に、嫌がることを強いたりしない」
「そりゃあ、よかった。今でも結構、酷ぇ目に遭わされてるんだから」
「おい！僕は…優しくしてるだろ？」
心外な言葉に、思わず声を荒げる。


「『優しく』ぅ？」
福田くんは、それこそ「心外だ」と言わんばかりだ。
「『まだ、ペン入れ残ってる』って言ってる作家に、2ラウンド強いるような奴が？」
「……」
僕が押し黙ると、
「…原稿」
ぽつりと呟いて、福田くんは寝床から起き上がり服を身に着け始めた。
「仕上げ手伝うよ、僕も…」
慌てて僕も倣うと、
「…ったりめーだ！」
そう言って福田くんは、ひと足先に寝室を後にした。