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秘密

70頁ネタバレですのでご注意。
雄二郎+福田(×というよりか、+です)


「雄二郎さん、最近何か隠し事してるだろ?」
「へ?」
福田くんちでの打ち合わせが終わった後、彼にこう言われて一瞬、僕は何の事か分からなかったけど…あぁ、新妻くんに秋名愛子の作画をやらせる件か…と思い至った。服部に念押しされてるので、さすがの僕も今のところ誰にも洩らしてはいないけれど、秘密にしてること自体を忘れるようでは、危ういな…。それにしても福田くんの「嗅覚」、恐るべしだ。
「んーまぁ。悪い話じゃないよ。君達にとっても」
刺激になるはず…って服部、言ってたし。
「何、何?悪企み?編集長をぎゃふんって言わすような?」
…愉しそうだな、おい。
「人聞き悪いなぁ。まぁ…僕ら編集も、より良いジャンプを目指してる…その為には、作家さん各自のやる気をいかに引き出すか、考えてるって話さ」
思いついたのは、服部だけども。悔しいけれど、策士なのは認めざるを得ない。
「ふーん」
僕の、漠然とした説明でも一応は、納得してくれたのか。福田くんはこれ以上の追求はしてこないようだった。


「雄二郎さんも、俺のやる気引き出すこと考えてくれてる訳?普段」
「…当たり前だろ?」
まぁ、本来はほっといても常に、やる気MAXってのが理想だろうけど。そうは言っても作家も、生身のひとりの人間だ。疲れもすれば、迷いもする。いかに鼻面に美味そうなニンジンをぶら下げてやれるかも、編集の腕のみせどろのひとつと言えるだろう。
「どんなふうに?」
どんなふうにって、そりゃー…。即答しようと思ってしかし、答えがすぐに、見つからなかった。
(…あれ?)
アイデア出すのや仕上げを手伝ったり。そして勿論、ネームにあれこれ、指示は出してるけど…「やる気を引き出す」って目的に特化して何か、やってたっけ?…せいぜい、たまにコンビニで買った軽食を差し入れる位…か?
「雄二郎さん」
にっこりした笑顔が…何だか、怖い。
「…ハイ」


福田くんがぷっと笑って、
「いーんだよ、別に。変に小細工しかけてくるよーな編集だったら俺、うまくやっていけてねーかも、だ。たとえそれが、親切心からでも、な。あんたでよかったよ。ろくに秘密も守れねー、嘘もつけねーあんたで」
うーん。誉められてるのか、貶されてるのか。
「『秘密』、愉しみにしてるぜ。…ま、どーせ雄二郎さん発案じゃねーんだろうけど」
図星をさされて、僕はちょっと面白くなかったのでつい、
「…一本の連載で『キツい×2』って言うのが、通用しなくなるかもしれないから、覚悟しといた方がいいよ」
「…誰か、二本目の連載始めるってのか?…新妻師匠か!?」
…何で分かるの~!?まぁ、アシをしてて、彼のスピードに身近に接してたからこそ、察しがついたんだろうけど。それにしても、恐ろしいまでの洞察力だ。
「…福田くん」
「何?」
「これ…で、お願いするよ」
僕は、「口にチャック」のジェスチャーをした。
「…雄二郎さん、あんた本当、口軽過ぎるよ…」
呆れかえった福田くんの視線が、痛かった…。

2010-01-26 : 雄×福SS :
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プロフィール

曜

Author:曜
バクマン。の雄二郎×福田がメインのSSブログです。福田×蒼樹も少々。ド短期運営になるかもしれませんが、よろしければお付き合いの程を。

なお、SSは話ごとに時期や設定が異なります。両思いだったり片思いだったり。キャラの性格や口調等、かなり独自解釈してたりで捏造率が高いかと思いますが、あしからずご了承願います。


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