fc2ブログ

恵方巻き

「節分」という時節ネタで小話。
あまり関東ではやらないらしいですが、そこのところ目を瞑って頂ければ。


「はい、お土産」
そう言って、福田の部屋を訪れた雄二郎は、○○寿司と印刷されているビニール袋をテーブルの上に置いた。
「何、これ?雄二郎さん」
「恵方巻きの巻き寿司。君、広島で食べなかった?」
「店で宣伝はやってたけど…。うちは食べてなかったな」
「そう?いいだろう?たまには巻き寿司ってのも」
「どーせなら、にぎりの寿司屋に連れてってくれよ。回転寿司でいいからさ」
ブツブツ言いながら福田は、ビニール袋の中からパックを取り出した。
「…あれ?2本しかないじゃん」
「そうだよ。安岡くん明日からだろ?だから2本でいいだろうって思って」
「明日位、日持ちしそうなもんじゃん。雄二郎さんって結構、薄情だよな…」


せっかく自腹を切って買ってきた差し入れに文句を言われて、雄二郎はちょっとムッとしたけれど、
「じゃあさ、1本を2人で食べるかい?…ポッキーゲームみたいに、端と端とを咥えてさ」
勿論、冗談で言った訳だが…福田はしらけ切った表情を返したのみ…であった。
「…『こんなのグニャって、ポッキーゲームなんか出来るか!』とか、突っ込んでよ、福田くん…」
「包丁で、食べやすい大きさに切ればいいだけだろ?個数も増えて、安岡も食える」
「…恵方巻きの、意味が無いよ…」
雄二郎はそう嘆いたけれど、自身にあまり馴染みがない習慣には頓着しないのか、福田はあっさり巻き寿司達をまな板の上に連行し、包丁をおろした。


安岡の分が皿に載せられ、ラップの上冷蔵庫に入れられて、やっと2人で食べる段となったが、
「雄二郎さん、お茶淹れてよ」
「へ?」
「普通、俺が切ってる間に淹れとくもんだろ?気ぃきかねーなぁ」
「…悪かったよ」
カチンときたけれど、雄二郎は急須に茶葉を投じ、ポットのお湯を注ぎ始めた。
(…もうちょっと、楽しい食事になると思ったんだけどなぁ)
内心そう思いながら嘆息したら、
「雄二郎さんが淹れた方がうめーんだよ。お茶」
…飴と鞭かよ。でもまぁ、そう言われると悪い気はしないな。雄二郎はそう思いながら、福田賞賛の味を出すべく、時計の秒針に視線を移した。

2010-01-27 : 雄×福SS :
Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

曜

Author:曜
バクマン。の雄二郎×福田がメインのSSブログです。福田×蒼樹も少々。ド短期運営になるかもしれませんが、よろしければお付き合いの程を。

なお、SSは話ごとに時期や設定が異なります。両思いだったり片思いだったり。キャラの性格や口調等、かなり独自解釈してたりで捏造率が高いかと思いますが、あしからずご了承願います。


↓参加してます。
BAKUMAN。RanK
バクマン。らんく
BNR

検索フォーム

FC2カウンター